デビュー10周年& “ビヨンド・オービット” 発売記念 挾間美帆m_unit 日本ツアー2023 (2023年9月29日 東京・文京シビックホール)

とにかくめちゃめちゃかっこよかったのです。挾間美帆m_unitのコンサート。

ジャズ作曲家・編曲家・指揮者の挾間美帆さん率いるm_unitは、管楽器5人とピアノ、ドラムス、ベース、ビブラホンに弦楽四重奏が加わるという総勢13人のラージアンサンブル。弦セクションの存在、管楽器にもホルンが加わっていることなど、楽器編成がジャズとしてはあまり類のないものとなっています。私の乏しいジャズ聴取体験の中ではマイケル・ブレッカーのクインデクテットが思い出されるぐらい。

…と思ったら、m_unitのアイディアの原型はまさにブレッカーのクインデクテットだという記事がありました。なるほど。

今回のコンサートは挟間さんのメジャーデビュー10周年を記念したものであったと同時に、アルバム「ビヨンド・オービット」の発売記念でもありました。

挾間さんのライブには、直近では8月の東京JAZZ 2023 NEO-SYMPHONIC JAZZ at 芸劇 – Mirage Futureに行ったばかりですが、m_unitは2019年のBBC Proms Japanで一度行っただけ。この時は後半にリー・リトナー、デイヴ・グルーシン等が控えていてやや短めなステージでした。そんな訳で、ようやくm_unitをフルに聴けるこの日のコンサートは非常に楽しみにしていました。既にSpotifyでアルバムの予習も済ませてあり、だいぶ攻めた楽曲が並ぶことはわかっていましたが、始まってみるとやはりライブはすごかった。

私の場合ジャズを聴くときは、楽曲よりも即興ソロのパフォーマンスに注目してしまいがちです。楽曲ももちろん重要だけど、テーマやコード進行が引き出す各プレーヤーのソロにどうしても耳が行ってしまうのです。しかしm_unitの音楽は楽曲の面白さ、アンサンブルの面白さにまず惹きつけられます。コードもリズムも旋律の絡み合い方も相当に緻密で複雑な、全員による高度なフォーメーションプレイ。なおかつ踊れてしまいそうな楽しさと躍動感がある音楽。その上でさらに、統制の取れたフォーメーションの中を泳ぐようなソロ、或いは統制から解き放たれて爆発するソロが展開され、楽曲の魅力を一層増してくれるのです。

演奏されたのは最新アルバム収録曲と、旧作「タイム・リバー」から2曲。ハードでスリリングな曲が続く中、ちょうど中秋の名月だったこの日にぴったりだった「月ヲ観テ君ヲ想フ」の叙情性は印象的でした。第二部の大半を占めた「エクソプラネット・スイート」は、これを聴けた幸せに感謝したい気持ちです。

演奏者の中で印象に残ったのはテナーサックスの庵原良司さん、ドラムスの伊吹文裕さん。弦セクションのメンバーがいずれも私が普段よく聴くアルゼンチン音楽と縁が深い方々なのも何だか嬉しかったりします。

コンサート後に下記のインタビューを読んだらこれがまた面白い!事後的にいろいろ発見もありました。

12月にはブルーノート東京でのライブも予定されているので、これも行かなくては。ホールとは違った響きでこの音楽を聴けるのも楽しみです。

デビュー10周年& “ビヨンド・オービット” 発売記念 挾間美帆m_unit 日本ツアー2023

日時:2023年9月29日 19:00〜

場所:東京・文京シビックホール

出演者:挾間美帆m_unit

曲目:

【第一部】

  1. Abeam
  2. Portrait of Guess
  3. 月ヲ観テ君ヲ想フ (Under the Same Moon)
  4. Time River
  5. From Life Comes Beauty

【第二部】

  1. A Monk in the Ascending and Descending
  2. Exoplanet Suite
    1. Elliptical Orbit
    2. Three Sunlights
    3. Planet Nine

【アンコール】

  1. Can’t Hide Love

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