自分の聴覚に多大な影響を与えたレコード (1) The Durutti Column / Without Mercy

今年 (2020年) 5月、ちょうどコロナの第一波でみんなが家に籠っている状況下、SNS では色々な「バトン」が回っており、私のもとにも Facebook で

10日連続で自分の「聴覚」に多大な影響を与えたレコードのアルバムカバーを1日1枚投稿してゆくミッションです。説明や理由は無しです。

というバトンが回ってきました。ちょっと思うところがあって他の人にはバトンは回さなかったものの、お題には心惹かれるものがあったので、以後10日連続で投稿しました。

投稿時には、バトンのミッションに従い理由や説明はなし。でもそれからだいぶ時間も経ったので、当ブログに投稿内容にまつわるあれこれを書いていこうと思います。

投稿第1日目はこちら。

取り上げたアルバムは

The Durutti Column / Without Mercy (1984, Factory fact84 – 日本コロムビア YX-7349-AX)

です。

これを初めて耳にしたのは、実家近くの床屋で髪を切ってもらってる最中でした。偶然ラジオから流れてきた曲の響きが何故か私の心を捕らえて離さず、全神経はラジオに集中。やがて番組パーソナリティーが口にした、それまで聞いたことのない奇妙なバンド名「ドゥルッティ・コラム」と曲名「ウィズアウト・マーシー」を散髪が終わるまでひたすら頭のなかで反復し、帰宅してすぐメモに書き留め、後日レコード屋さんで探し出して購入したのでした。日本盤のリリースは1984年12月だったことから考えると、上記の出来事があったのはおそらく1984年末~85年。東京の大学に通っていた時期なので、冬休みか夏休みに札幌に帰省していた時のことだと思います。

収録曲はA面 Without Mercy 1、B面 Without Mercy 2 の2曲のみ。両方ともヴィニ・ライリーの透明感のあるエレクトリック・ギターとピアノをフィーチャーしつつ、1は弦・管楽器、パーカッションが加わるクラシカルで室内楽的なアプローチ、2はさらにリズムボックスやサンプリングも加わるリズミカルでコンテンポラリーなアプローチで、同一の美しく印象的なモチーフを展開しています。当時は圧倒的に1の方が好きでしたが、今改めて聴くと2の前半のビート感と後半の静寂の対比もなかなか印象的です。そして何よりヴィニのギターの存在感。クリーントーンでクラシックギターのように和音を爪弾く、どちらかと言えば地味なプレイながら、ディレイを駆使して厚みと空間的な広がりを加え、全編を通じて楽曲を牽引しています。

クリーントーンのエレクトリック・ギターとクラシック寄りの楽器編成の組み合わせは、実は私にとってはアストル・ピアソラのグループで馴染みがあるものではありました。とはいえこのヴィニのギタースタイルは (当然ながら) ピアソラのグループでのギターとは全く違うもので、当時の私には極めて新鮮なものだったのです。このアルバムとの出会いによって、明らかに私の中の世界が広がったのを感じました。

そんなわけで、多くの方にこの作品を聴いていただきたいのですが、現在ストリーミングやダウンロードでは全曲通して聴けるものはない模様です (Facebook の投稿のコメントに貼り付けた YouTube 映像はフルバージョンだったのですが、現在は削除されてしまったようです)。 下の Spotify のアルバムに収められているのは1も2も全体の1/3位の抜粋で、特に2は前半のリズムが前面に出た部分がカットされているので今一つ1との対比がわかりにくい状況。これでも美しさは伝わりますが、もったいないなあ、と思います。

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