自分の聴覚に多大な影響を与えたレコード (2) Pat Metheny Group / Travels

Facebook で回ってきたバトンに応じた投稿の補足その2は言わずと知れたパット・メセニーの名盤です。

Pat Metheny Group / Travels (1983, ECM 1252~53 – トリオ PAP-20511~12)

これがリリースされた1983年は私がちょうど大学進学で東京に出てきた年です。この年に彼等は来日しており、私は五反田簡易保険ホールのコンサートに行きました。

既に相当記憶があいまいなのですが、多分パット・メセニーについては当時まだ名前だけ知ってたレベルだったと思います。ギター雑誌などで名前は目にしていたものの、どういう音楽をやるのかもあまりわかっておらず…あ、いや、高校時代に FM でちょっとは聴いたかも。いずれにしても、そういう状態でコンサートチケットを買ってしまうという無謀さが私の音楽体験を作ってきているわけですが、彼に関しては当然のことながら素晴らしかったのです。特に強烈に印象に残っているのがバンドの音のダイナミクスの広さで、音数や鳴ってる楽器の数を減らすのではなく各楽器がきっちりクレッシェンド、デクレッシェンドする演奏は、こういうエレクトリックな編成では初体験でした。あと、このツアーから新加入のペドロ・アスナールのマルチプレーヤーっぷりと声の美しさも印象的でした。

そんな風に初体験したパット・メセニーの音楽、当然レコードも欲しくなって買ったのがこれでした。パット・メセニー・グループの1982年のアメリカツアーでのライブ録音です。当時はアナログ LP 2枚組でした。

パットの音楽って、一方ではアメリカの大自然の牧歌的な雰囲気とか詩情を感じさせるものがあり、他方ではある種鬼気迫る情念とか狂おしさもあって、それらが共存しているところが魅力なのではないか、と勝手に思っています。このアルバムでも1曲目の “Are You Going With Me?” (ついておいで) なんて、聴きようによってはちょっとムーディーな雰囲気の曲想だけど、特に後半のパットのギターシンセのソロには幽玄さと狂気のようなものを感じます。で、続く2曲目が一転して “The Fields, The Sky”、大地と大空ですから (松山千春か!…って古いw)。

心にしみわたる美しいメロディもあれば激しいリズムの楽しさもあり、4曲目の “Phase Dance” のような押し引きの表現 (多分私がコンサートでダイナミックスに感激したのはこの曲)、8曲目 “Goin’ Ahead / As Falls Wichita, So Falls Wichita Falls” の不穏な雰囲気から始まる壮大なドラマなど、どのトラックも魅力にあふれています。最後の “San Lorenzo” の、ライル・メイズによるこの上もなく美しいピアノ・ソロからテーマに戻る瞬間など、何度聴いてもじーんとしてしまって、曲が終わった時に聞こえる絶叫に近い歓声にも心から共感してしまう…そんなアルバムです。

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