カマシ・ワシントン (2025/05/28 東京・六本木 ビルボードライブ東京)
ライブに行きまくった5月の締めくくりは、カマシ・ワシントン!
ビルボードライブ東京の最終ステージに行ってきた。

高校同窓の友人が席を予約してくれたおかげで、なんと最前列の席ですさまじい音を浴びることができた。
元々カマシの名前はあちこちで目にしていて、現代の最重要ジャズミュージシャンの一人だという認識だけがあったのだが、その存在が一気に自分にとって身近になったのが昨年リリースされたアルバム『Fearless Movement』。この最終トラック「Prologue」はなんとアストル・ピアソラの作った曲なのだ。そのあたりを掘り下げる記事は昨年e-Magazine LATINAの連載に書いた。
正直に言えば、このきっかけがなければ私が今回のライブに来ることはなかったかもしれない。一方で、それはあくまできっかけでしかなく、彼の音楽を知ってしまった以上はピアソラの音楽を彼がやるかどうかは大きな問題ではない。実際、今回私が聴いたステージでは「Prologue」は演奏されなかった。
それにしても、何と大きな音楽であることか。もちろん「大きい」は曲の長さや音量のことではなく (実際のところ曲は長かったし、音量こそ極端に大きかったわけではないものの大所帯のバンドメンバーが創り出す音の厚みはすごかったが) 音楽が表すものが大きいのだ。過去に別のミュージシャンに対しても使ったことのある言葉だが、宇宙が見えた。
1曲目「Raod to Self (KO)」から強烈。印象的なシンセサイザーのフレーズに導かれて厳かにテーマが奏でられ、ソロで徐々に盛り上がる。気が付けば嵐と狂乱の7拍子。この一曲だけで文字通りKOされてしまった。バラードを挟んでカマシの最新作、渡辺信一郎監督・原作のアニメ『ラザロ』のサウンドトラックから2曲。そして最後は2018年のアルバム『Heaven and Earth』から2曲。ラストの「Street Fighter Mas」は、1960~70年代のソウルミュージックのようなノリが多幸感をもたらし、このままこの音楽がずっと続いてほしい、という気持ちに。実は、後からスタジオ録音の音源で確認してみるとむしろ陰影を感じる楽曲だったのだが、若干の戸惑いはありつつもその場で感じた想いは素直に残しておく。
メンバーの中では、私が座っていた席の目の前だったソプラノサックスとフルートのリッキー・ワシントンが、演奏そのものもジェントルな佇まいも印象的だった。ワシントン姓なので確認したら、なんとカマシの父だったとは。ベースのマイルス・モズレーはカマシにピアソラの「Prologue」を演奏することを勧めた人物。プレイもどっしりとしたベースラインから激しいソロまでかっこいい。DJ BATTLECATはDJ以外にパーカッションも演奏しており、リズム面で非常に重要な役割を果たしていたと思う。
そんなわけで、5月の怒涛のライブ月間は最高の締め括りとなった。終演後に同行の友人と1枚。腹が目立つのはご愛嬌。

カマシ・ワシントン Kamasi Washington
日時:2025年5月28日 20:30~ (2nd stage)
場所:東京・六本木 ビルボードライブ東京
出演者:
- Kamasi Washington (t-sax)
- Patrice Quinn (vo)
- Rickey Washington (fl, s-sax)
- Ryan Porter (tb)
- Brandon Coleman (key)
- Miles Mosley (b)
- Tony Austin (dr)
- DJ BATTLECAT (DJ, per)
曲目:
- Road to Self (KO)
- Together
- Lazarus
- Lie in Memory
- Vi Lua Vi Sol
- Street Fighter Mas
こちらはリッキー・ワシントンの足元に貼られていたセットリスト。これのおかげで今回の曲目は自信を持って書けた。

復習、追体験用にプレイリスト作成。
卓球好き、音楽好きです。飲み食い好きが高じて料理もします。2024年ソニーグループ(株)を退職し、同年より(株)fcuro勤務のAIエンジニアです。アルゼンチンタンゴ等の音楽について雑誌に文章を書いたりすることもあります。
なお、当然ながら本サイトでの私の発言は私個人の見解であります。所属組織の方針や見解とは関係ありません (一応お約束)。
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