Pat Metheny MoonDial/Dream Box Tour(2025/05/27 東京・錦糸町 すみだトリフォニーホール)

昨年のブルーノート東京での公演も記憶に新しいパット・メセニーが今年も日本にやって来た。今回はホールでの公演。その初日に行ってきた。

ツアータイトルのDream BoxとMoonDialはパットの直近2作のアルバムタイトル。前者はエレクトリックギターのソロ (多重録音含む)、後者はナイロン弦アコースティックギターのソロと、いずれも自身のギターのみによるアルバムである。とはいえ両アルバムに収録されている曲が中心というわけではなく、ソロギターのツアーであることの象徴としてのタイトルと考えた方が良いだろう。この点は昨年のDream Box Solo Tourと同じ。

というか、ステージの構成自体がほぼ昨年の公演と同様だった。昨年の時点ではナイロン弦のバリトンギターを新しく入手したものとして誇らしげに紹介していたので、その時点でできた構成だったのかもしれない (MCでも昨年の公演についても言及していた)。期せずして一つのプログラムが1年少々の間にどれだけ成熟したかを体験することができたわけで、その点では非常にラッキーだったと言えるだろう。

昨年との大きな違いはMC。確か「長年やってきたけど、ステージでマイクを持って喋るのは初めてだと気付いた」と言っていたと思うが、いや喋る喋る。家族はトランペット奏者一家だったこと、自分もトランペットを吹いたが合わないと感じていてそこでギターと出会ったこと、ビートルズが好きだったこと、ギタリストにはジミヘンからセゴビアまで様々なスタイルの奏者がいて誰をお手本とするかで戸惑ったこと、エレクトリックギター主体で活動していたがチャーリー・ヘイデンと出会ってアコースティックギターも弾くようになったこと、バリトンギターのこと、ナイロン弦のバリトンギターのこと、等々…。それらを本人の言葉で聴くことで、私自身が音楽を受け止める際の解像度は一段上がった気がする。

上述のように構成自体は昨年と同様だったので、次に何が来るか、という意味での驚きはなかった。初めて聴いた人がおそらく一様に驚いたであろう、スチール弦アコースティックギターのノイジーでインダストリアルでクレイジーな曲も、おおやっぱりこれが来たか、と言う感じ。とはいえどの曲も演奏内容そのものは新鮮であり、スリリングで美しい。最もシンプルなナイロン弦アコースティックギターから自動演奏機械オーケストリオンやギターシンセサイザーまで、一人だけでギターを弾くことのあらゆる可能性を追求し、それをすべて惜しげもなく見せてくれたステージ。というかパット自身は使用したすべてのギターや装置が大好きで、それを弾くのを聴いてもらえるのが心底嬉しくかつ楽しい、というように見える。私たちはそんな貴方を観るのが心底嬉しくかつ楽しい。

Pat Metheny MoonDial/Dream Box Tour

日時:2025年5月27日(火) 19:00〜

場所:東京・錦糸町 すみだトリフォニーホール

出演者:パット・メセニー (ギター、バリトンギター、ピカソギター、オーケストリオン)

曲目:曲名で書けないものが多く、分かった曲も記憶があいまいだが、流れだけ…

  • メドレー (Minuano, Better Days Ahead等が入っていた気がする) ナイロン弦アコースティック
  • トーク (ギターとの出会い、チャーリーヘイデンのことなど)
  • メドレー (Beyond the Missouri Sky収録曲中心) ナイロン弦アコースティック
  • ストローク主体の曲 スチール弦アコースティック
  • ノイジーでクレイジーな曲 スチール弦アコースティック
  • ピカソ・ギターによる曲
  • トーク (バリトンギターについて)
  • メドレー (Rainy Days and Mondays, The Girl from Ipanema等) スチール弦アコースティックバリトン
  • トーク (ナイロン弦バリトンギターについて)
  • メドレー (MoonDial収録曲中心) ナイロン弦アコースティックバリトン
  • エレクトリックバリトンで数曲、ルーパーも使用してブルースなど
  • オーケストリオンで1曲

以下アンコール

  • オーケストリオンで1曲
  • スチール弦バリトンで2曲
  • And I Love Her ナイロン弦アコースティック

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