「臭みとか全然ない」って、それ…

日頃から思ってることなんですけど。

グルメレポーターが時々言うじゃないですか。「美味しい〜!ほんと、臭みとか全然なくって」と。

何故かほぼ100%、臭み「が」じゃなくて臭み「とか」なのも謎ですが、それは置いておいて一言。

それ褒めてるの?

だって、基本的にマイナスからゼロへの言葉じゃないですか。言い換えれば「臭いと思ったけどそんなことなかった」ってことでしょ?お前は食べる前は臭いと思ってたのかいな。

いやいや、「臭い」と「臭みがある」は違いまっせ、と言われるかもしれません。じゃあ「臭みがあると思ったけどそんなことなかった」と言い換えましょうか。変わった?多少マイルドになるかもしれないけど、やっぱりマイナスからゼロですよね。いずれにしても前提が失礼です。

具体的に考えてみましょう。この言葉が発せられる状況は、大きく2つに分けられると思います。

  • 鮮度や処理の仕方次第では臭みが出てしまうような食材を使った料理を食べたとき
  • 元々クセのある食材を使った料理を食べたとき

前者は、例えば雲丹とか川魚とか、肉ならレバー、ハツ等の内臓とか。こちらは強いて言えば、ものすごく鮮度が良い、とても処理が適切だ、という意味の褒め言葉にはなるかもしれません。ただ、通常は臭みがあってあまり食べられないものが鮮度や処理のお陰で例外的に臭みがない、というような状況でない限りは、客に出す時点で臭みなどないのが最低限のはずです。それに対して「臭みとかない」と言い放つのは「ま、基本はできてるね」とでも言っているに等しい。上から目線。

後者は例えばラム、マトンなどの羊肉。独特の香りが魅力のひとつです。これを食べて「臭みとか全然ない」と感じたとしたら、それはもはや失敗の部類。羊である必然性はなくて、豚でも鶏でも肉なら何でも良い料理。え?良い香りはするけど嫌な臭みはないという意図?それなら「臭みとかない」じゃなくて「良い香りです」と言いましょうよ。

もっとも、このクセは苦手な人もいるので、工夫によってそれを抑えて「どなたでも食べやすいように仕上げました」というような料理もあります。その場合に限れば「臭みとかない」は作り手の意図通りのプラスの評価と言えるでしょう。でも最初に言うべきことなんだろうか。他に褒めるポイントないんですか?

というわけでまとめます。

  • 臭みとか全然ない、は褒め言葉ではない
  • 例外的に以下の場合は許容範囲
    • 通常は臭みがあってあまり食べられないものが、鮮度や処理のお陰で例外的に臭みがない場合
    • 人によっては苦手かもしれないクセのある食材を、工夫によってそのクセを抑えて誰でも食べられるように料理した場合
  • 上の場合でも、他に褒めるポイントあるんじゃない?

以上!異論は、認めます! (あれ?)

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