齋藤徹の芸術 コントラバスが描く運動体 (齊藤聡・著、カンパニー社)

昨日 (2022/8/15) 注文してあった本が届きました。

そして予告通り今日は午後からこの本に没頭、先ほど読み終わりました。

私たちにとってとても大きくかけがえのない存在だった齋藤徹さん。その生涯と表現活動をとても丁寧に読み解いた評伝です。音楽、即興、ひいては生き方について徹さんが考え実践していたことが、本人の遺した言葉や周囲の証言により浮かび上がってきます。私自身、1997年に徹さんが小松亮太さん等と共にピアソラの音楽を演奏したライブを観て衝撃を受けて以来、決して多くはないものの何度か徹さんのライブに足を運びましたが、読んでいてその時の空気が蘇ってきました。さらにその時々で徹さんはどのような想いだったのか、共演者とはどのような経緯で共演するに至り、それぞれはどう感じていたのか、等を確認することもできました。

また、徹さんの言葉の中では特に印象に残っている「演奏」「表現」に対する警鐘

「遠くの祭り」では、演奏家の技術やコントロールを使えなくするという方法をとっています。長年演奏していると、無意識のうちにドンドン「演奏」してしまい「表現」してしまうことへの警鐘です。人の思惑が入らない方が音は自由に飛び立つのです。

徹の部屋 vol. 2(2009年5月29日19:30〜 東中野・ポレポレ坐) 配布プログラムより (当ブログの 同公演のレポート にて引用)

或いは「弱さの力」ということ

についてもより深く知ることができました。

徹さんが病を得て以降のことは、当時の気持ちと共に想い出されて胸が痛むものがあります。それでも、病を自覚しつつ「弱さの力」を力として、最後まで音楽家としての生を全うしたことが改めてよくわかりました。

唯一欲を言えば、タンゴに関する記述においては、徹さんがこよなく愛したトリオ・ロス・ファンダンゴスとの共演についても触れてほしかったと思いました。

徹さんを知る人、これから徹さんを知りたい人、そして自由に柔軟に表現を行うことについて興味のある人は、ぜひ読んでみてください。

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