B→C バッハからコンテンポラリーへ 岩川光 ケーナリサイタル (2022/1/18 東京オペラシティ リサイタルホール)

2022年ライブ/コンサート聴き初めはケーナの岩川光さんのリサイタルでした。

演奏曲目、その他詳細についてはこちらを参照してください。

感想は上のインスタに書いた通り。

ちょっと付け加えると、バロックの2作品は、ビーバーのパッサカリアの厳粛にして大きな音楽と、その音楽に全てを捧げた演奏により強く心を打たれました。

第二部はやはりシネシとトレドの委嘱作品が圧倒的。シネシは自由な展開の中でもワイノ~ビダーラ~チャカレーラのそれぞれのリズムが躍動していました。トレドの方は、獣が唸っているようにもバイクや重機のエンジン音のようにも聴こえる音を軸に進行。面白かったなあ。

加えて、管楽器門外漢として興味深かったことを少し書いておきます。

ひとつはブレスの取り方とリズム。バッハやビーバーの作品では一回のブレスを比較的たっぷりと取るかわりに、ひとつながりのフレーズの流れをとても大切にしているように感じられました。これを横の音楽とすれば、シネシやピアソラは縦の音楽かな。面白い対比でした (文字にすると当たり前な気もしますが)。

もうひとつは身体の使い方。過去のライブで彼が時折ケーナを吹きながら時折片足を上げたりするのが印象に残っていたのですが、今回はドビュッシーで足を乗せる台を置き、右足を乗せて半身の姿勢で吹いていたのが不思議でした。足台はこの一曲のみ。彼の演奏は楽器と身体が一体化している、とは多くの人が指摘するところですが、この姿勢の違いは音楽にどのような影響を与えるものだったのでしょうか。続く「ハチャケナ」では足を上げて片足立ちで吹く局面もありましたが、こちらは巨大なハチャケーナの下端に足が触れていたようにも見えました。管の口を塞いで何等かの効果を与える意図があったのかもしれません。

余談:アンコール曲について

最後にアンコール曲について。終演後の掲示やオペラシティのサイトでは、リカルド・カペジャーノ作「貧しき者、弱き者たちへの賛歌」と発表されていました。スペイン語タイトルは

Concierto tanguero para guitarra sola – Cuarto Movimiento: Himno para Debiles y Desposeidos (La Fortaleza Es un Refugio, La Posesion Veneno)

で合っていると思います (Ricardo Capellano “Concierto tanguero para guitarra sola” に収録)。訳すると

ギターソロのためのタンゴ的協奏曲 – 第4楽章:弱き者と貧しき者たちへの賛歌 (強さは逃げ場、所有は毒)

でしょうか。カッコ内の訳がかなり怪しいですが。

カペジャーノは1957年生まれのアルゼンチンのギタリスト・作曲家です。たまたま私は以前別のアルバムのレビューをラティーナに書いたことがあり、エグベルト・ジスモンチにも通じるような魅力を持ったアーティストとして強く印象に残っていました。経歴等については大洋レコードさんの下記のアルバム紹介に詳しいのでご参照ください (タイトルの訳等には若干怪しいところもありますが…)。

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