戦争における「人殺し」の心理学(デーヴ・グロスマン 著、安原和見 訳、筑摩書房)


戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫)(デーヴ グロスマン/Dave Grossman/安原 和見)

本書によれば、たとえ戦争に行った兵士であっても、人を殺すことには強烈な抵抗を感じるのだそうだ。敵と対峙し、敵が自分に銃を向けていたとしても、出来れば相手を殺したくないと思う。それは多くの動物が生得的に持っている、同類を殺すことを回避する本能によるものらしい。
第二次世界大戦において、兵士の発砲率は15〜20%。しかし、この発砲率はベトナム戦争では90〜95%にまで上昇する。軍は兵士に何をして、発砲や殺人への抵抗感を克服させたのか。殺人を行う兵士の心理とはどのようなものなのか。心理学者であり歴史学者であり軍人でもあった筆者は、丹念な調査でこれらを解き明かしていく。
私自身は、本来人は人を殺せない、という事実に一縷の希望を感じる一方で、その人間の本性を変える手法が確立されている、ということには戦慄を覚えずにはいられない。
[Posted on 2008-10-12]

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です