日本の刑罰は重いか軽いか(王雲海・著)

日米中の刑罰に関する比較論。単に制度面での比較にとどまらず、社会・文化的要因を考慮に入れた比較となっており、非常に興味深い。例えば以下のような事例が挙げられている。

 次に、中国の刑法の中で犯罪として定められているのはあくまでも大きなことに限る。例えば、刑法に窃盗罪という規定があるが、それを定めている刑法典第二六四条によると、窃盗罪になるのは、窃盗した金額が比較的大きいか、数回窃盗を繰り返した場合のみである。

つまり、中国では小額の盗みは、法には反しているかもしれないが、犯罪ではないのである。一方で日本は量に関わらず違法行為は犯罪であり、米国では内容によって量が関係あったりなかったりする。
また、日本の以下のような例も挙げられている。

 周防正行監督の映画『それでもボクはやってない』で描かれているように、今の日本では痴漢行為などの逮捕者が多くなっている。たとえ微罪・迷惑行為で法律上の刑罰が罰金程度の軽いものでも、一旦逮捕されたら、それに伴って実際に生じる社会的制裁が過酷であり、自分だけではなく家族までもが世間に白い目で見られるだけでなく、生活全般がほぼ壊滅的な状態に追い込まれることがあり得る。
(中略)
 このように日本では、法律上は「無罪推定」「罪刑法定」が原則とされているにもかかわらず、社会上は「有罪推定」「罪刑不法定」になっている。

このようないくつかの事例を検証・考察した上で、最終的には

「権力社会」中国・「法律社会」米国・「文化社会」日本

という形でそれぞれの社会特質をまとめ、これが犯罪や刑罰に大きな影響を及ぼしていることを示している。

日本の刑罰は重いか軽いか (集英社新書)(王雲海)

[Posted on 2008-05-20]

日本の刑罰は重いか軽いか(王雲海・著)” に対して1件のコメントがあります。

  1. よしむら より:

    タイトルに誤字があったので修正しました(思い→重い)。お恥ずかしい。

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