ペテコ・カラバハル&カロリーナ・ペレリティ (2025/10/15 東京・本駒込 榎の樹ホール)
アルゼンチンのギタリストで歌手のペテコ・カラバハルと、歌手のカロリーナ・ペレリティのコンサートに行ってきた。ペテコはアルゼンチンの有名な音楽家一家の一人で、チャカレーラなどのフォルクローレにおける超重要人物。一方カロリーナはモデル、女優から歌手へと活動の場を広げ、今やその実力が認められているアーティストである。そんな二人が小さなホールで共演。

この日何より驚いたのが、日本のフォルクローレ愛好家の熱気の凄さ。コンサートの1曲目から、客席の半数以上の人がチャカレーラのリズムの手拍子を打つ。ちなみにチャカレーラは6/8拍子で、手拍子は2拍目と5拍目を抜いてパンパパンパというようなパターン。慣れない人にとっては簡単ではない。しかも曲の間中打つわけではなく、イントロと間奏、最後のコーラスでそれぞれ決まった小節数分をぴったりと合わせるのだ。ペテコが目で合図をすればみんなスペイン語で歌い出すし、踊れる人出ておいで、と言われれば即何人も前に出て踊るし。とにかくみんなアルゼンチンのフォルクローレを愛し実践している。その世界を知らずに「アルゼンチン音楽、好きで聴いてます」と言っていた自分がちょっと恥ずかくなるほど。そういえばブラジル音楽のファンもこんな感じだったなあ。ちなみにタンゴでは、少なくともコンサートやライブではまずこんな事は起きない。まあタンゴの場合はじっくり聴くための音楽として演奏され聴かれるケースが多く、それとは別にダンスの場としてのミロンガがあるので、事情は違うのだけど。でも音楽への接し方としてちょっと羨ましい気がする。
おっと、肝心のペテコ&カロリーナのことを全然書いていなかった。ペテコのギターは何より力強い。チャカレーラやサンバのリズムの刻み方はキレキレだし、間に挿し挟まれるフレーズもタッチが強くてかっこいい。時折ロックのパワーコードのような響きも聴かれる。かと思えば繊細なアルペジオやフレージングも美しく聴かせてくれる。歌声もギター同様力強く張りがあり、何より訴えかけてくるものが大きい。カロリーナは思ったほど前面に出てこなくて、ペテコとのコーラス主体で時折リードボーカルも取るという役割だったように思うが、やはり力強さと存在感のある歌声だった。

特にペテコが本国で歌っても最も盛り上がる曲だという ”Como pájaros en el aire” “Perfume de carnaval” “El embrujo de mi tierra” では客席の盛り上がりも最高潮。アンコールも3曲ほど演奏し、客席にいたパーカッショニストの石川智がボンボで飛び入り参加。最後にはペテコがバイオリンを手にして、それまで脇でスタッフ的に働いていたギタリストの智詠がギターで参加。いやー、素晴らしい!
ペテコ・カラバハル&カロリーナ・ペレリティ
日時:2025年10月15日 (水) 19:00~
場所:東京・本駒込 榎の樹ホール
出演者:
- Peteco Carabajal ペテコ・カラバハル (g, vo, vn)
- Carolina Peleritti カロリーナ・ペレリティ (vo)
- 西村秀人 (通訳、解説)
曲目:わかったものだけ
- Borrando fronteras
- Como flor del campo
- El suspiro
- Flores y chacareras
- Como pájaros en el aire
- Perfume de carnaval
- El embrujo de mi tierra
- Añoranzas
アルゼンチン大使館のインスタグラムでこの日の様子が紹介されていたので貼っておく。ただし音源は会場のものではなく録音から。
卓球好き、音楽好きです。飲み食い好きが高じて料理もします。2024年ソニーグループ(株)を退職し、同年より(株)fcuro勤務のAIエンジニアです。アルゼンチンタンゴ等の音楽について雑誌に文章を書いたりすることもあります。
なお、当然ながら本サイトでの私の発言は私個人の見解であります。所属組織の方針や見解とは関係ありません (一応お約束)。
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