RIKKI & AKI ~奄美島唄を紡ぐ~ (2025/09/06 東京・亀戸 ライティングハウスTOKYO)
亀戸のライティングハウスTOKYOでピアニスト黒田亜樹の企画により行われるブランチコンサートは、昨年12月に行って以来2回目。今回は歌手RIKKIを迎えてのコンサートだった。

RIKKIは奄美の島唄をベースにポップスにも活動の場を広げて活躍する歌手。15歳の時に日本民謡大賞のグランプリを史上最年少で獲得した、という実力を持つ。昔からゲームをやっている方なら2001年の『FINAL FANTASY X』の主題歌「素敵だね」でその歌声を聴いているかもしれない。ちなみに黒田も同じ『FINAL FANTASY X』の楽曲のピアノアレンジ集『Piano Collections / FINAL FANTASY X』の演奏者。上の写真のポスターに書かれている「ファイナルファンタジーXで伝説を作った2人」という言葉はそれを指している。ただし2人のつながりはそれ以前からのもので、この日のMCでも黒田が「RIKKIが10代、私が20代の頃から」と言っていた。私も2000年に2度ほどライブに行った記録が残っている (→ Rikki (2000.8.13)、2000年11月度月間報告)。2人の共演はその後ずいぶん間が空いたようだが、今回たまたまスケジュールが合ってコンサート実現の運びとなった、とのこと。
最初に奄美の伝統的な島唄を2曲。島唄に限らず日本の民謡には本来和音の概念がないと言って差し支えないと思うが、そこにピアノが和声的な広がりを与える。静かに寄り添うような響き。RIKKIの歌声は澄んだ高音が美しい。3曲目からは黒田の盟友、パーカッションの神田佳子も飛び入り参加して、まずは絵本『くろうさぎはねた』(詩:こうだてつひろ、絵:石川えりこ、海風社) から生まれた楽曲が2曲。ポピュラー音楽の要素を加えつつ、自然や生活に根差した音楽という島唄の特性も併せ持つ。神田のパーカッションは木の響きが中心。続いてファイナルファンタジーXからのメドレーで、ピアノソロの「ザナルカンドにて」と3人での「素敵だね」。実は私自身はゲームをやらない人間なのでこれらの曲には特に想い入れはないのだが、シンプルにとても美しい。ラストはRIKKIが宮沢和史とのコラボレーションでリリースした「からたち野道」、アンコールは誰もが知っている「花」。
この日のRIKKIの歌声からは、地に足の着いた活動を重ねて自分が歌いたい歌を歌い続けているのだろう、ということが伝わってきた。唄者としての圧倒的な実力と「素敵だね」という世界的なヒット曲がありながら、派手に表舞台に飛び出すわけでもなく、かといって誰も知らないところに引っ込んでしまうわけでもなく、自然や生活に根差した島唄のあり方そのままに生き、歌う。黒田、神田も彼女のそんなあり方をそのまま受け止めて支えるようなサポート。心に残るひと時だった。
ライティングハウス20周年記念スペシャル企画 土曜ブランチコンサートVol. 13
RIKKI & AKI ~奄美島唄を紡ぐ~
日時:2025年9月6日(土) 11:00~
場所:東京・亀戸 ライティングハウスTOKYO
出演者:
曲目:
- 俊良主 (しゅんじょしゅ) (奄美民謡) ←これだけ曲名に自信がない
- むちゃ加那 (奄美民謡)
- ルリカケスのうた (M: 高本一郎, L: 幸田哲弘)
- 立神さま (M: 高本一郎, L: 幸田哲弘)
- ザナルカンドにて (植松伸夫) ~ 素敵だね (M: 植松伸夫, L: 野島一成)
- からたち野道 (宮沢和史)
- アンコール:花〜すべての人の心に花を〜 (喜納昌吉)
卓球好き、音楽好きです。飲み食い好きが高じて料理もします。2024年ソニーグループ(株)を退職し、同年より(株)fcuro勤務のAIエンジニアです。アルゼンチンタンゴ等の音楽について雑誌に文章を書いたりすることもあります。
なお、当然ながら本サイトでの私の発言は私個人の見解であります。所属組織の方針や見解とは関係ありません (一応お約束)。
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