マリアナ・バラフ with 勝井祐二 (2025/05/20 東京・代々木上原 hako gallery)

マリアナ・バラフはアルゼンチンの歌手でパーカッショニスト。バイオリンの勝井祐二をゲストに迎えた彼女のライブに行ってきた。

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二人の共演を聴くのは2023年11月以来。このときは勝井がメインでマリアナがゲストだった。

今回は、まずマリアナがソロで4曲演奏。1曲ごとに英語で曲名や作曲者などの説明をしてくれたのがありがたかった。演奏された曲自体は伝統的なフォルクローレで、演奏スタイルもパーカッションを叩きながら歌うという極めてシンプルなもの。ただそのパーカッションで叩き出すリズムはフォルクローレのベーシックなリズムを踏まえつつも様々に変化する。ボーカルには長めのディレイタイムのエコーがかかっていたのも興味深かった。響きとしてはドライで、かなり遅れてエコーが返って来る。彼女の歌う音楽が作られた場、すなわち山間部の野外だとこういう響きになるのだろうか。

「Chacarera Santiagueña」ではダンスに言及したところ、客席にチャカレーラを踊れる人がいて (しかも私の知り合いだった) 曲の途中で客席の手拍子に乗せてマリアナとペアで踊る一幕も。高音域のアカペラが神々しい「Jantun Illimani」のあと勝井が呼ばれ、二人で演奏したのはマリアナの自作曲「El clavel del aire」。ここではマリアナはウクレレを弾きながら歌い、勝井がそのメロディに寄り添うようにバイオリンを重ねる。続いて二人による即興で1曲。

第二部は全編二人による即興。前回同様マリアナの創り出すリズムが圧倒的に面白い。マリアナの声と勝井のバイオリンが相互に刺激し合い重なり合い、今回もどこかへ連れて行ってもらえた。アンコールに「El clavel del aire」を再演。

ブエノスアイレスに生まれ育った彼女が山間部のフォルクローレに魅せられてここまで作り上げてきた独自の音楽は、素朴でプリミティブなスタイルを持ちつつアプローチは現代的で、その両面性が我々を惹きつける。今後のさらなる展開を期待したいところだが、なんと本人は近々ブラジルへと移る予定なのだそうだ。ここから彼女の音楽がどう変わっていくのか、期待しつつ見守りたい。

終演後に少し彼女と話した際に私がアルゼンチンタンゴを好きだと伝えると、突如タンゴを歌い出した。曲は「マレバーヘ」で、軽く歌った後「強い音楽よね」と一言。マリアナ・バラフが歌うタンゴを聴いたことがある人はそうそういないだろう、と軽く自慢しておく。

マリアナ・バラフ with 勝井祐二

日時:2025年5月20日 (火) 19:30~

場所:東京・代々木上原 hako gallery

出演:

曲目:当日MCから聞き取った内容を手持ちCD等と照合し、わかる範囲で記載

【第一部】

  1. Doña Ubenza (Chacho Echenique) – ? (2曲メドレーの後半、曲名失念)
  2. Chacarera Santiagueña (作者不詳)
  3. Y ya me voy (作者不詳)
  4. Jantun Illimani (Luzmila Carpio)
  5. El clavel del aire (Mariana Baraj) *
  6. Improvisation *

【第二部】

  1. Improvisation *

【アンコール】

  1. El clavel del aire (Mariana Baraj) *

さらに余談だが、ステージ開始前に会場に流れていた音楽はTortoise、一部と二部の間に流れていたのはブラジル出身のピアニスト、アマーロ・フレイタス。前者はTortoiseでは?と思い、後者は全く知らないけど気になるということで、それぞれShazamで確認してわかった。誰が選んだのだろう。聞いてみればよかった。

マリアナ・バラフ with 勝井祐二 (2025/05/20 東京・代々木上原 hako gallery)” に対して2件のコメントがあります。

  1. yoshimura-s より:

    最初の2曲メドレーの1曲目が「Doña Ubenza」であることをXでこれりんさんから教えていただき、反映しました。ありがとうございました!
    https://x.com/colele_darereco/status/1928608393184350693

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