吉田篤貴カルテット (2025/12/17 東京・神保町 試聴室)
夏に聴いたEmo Stringsのライブが素晴らしかった吉田篤貴のカルテット。ピアノは目下個人的に大注目の梅井美咲!
これは聴き逃してはいけないやつ。というわけでライブに行ってきた。場所は神保町 試聴室。

実は一番最初に梅井を知ったのはSpotifyからのお薦めで流れてきた「ヴェイル」という曲で、この曲には吉田のソロがフィーチャーされていた。最初の段階からこの2人の組み合わせに耳を奪われていたのだ。
さてこの日、演奏された曲は1曲を除いて吉田のオリジナル。変拍子が刺激的な曲、ノリの良いリズミカルな曲、エモーショナルな曲とバリエーション豊かでとにかく聴いていて楽しい。Emo Stringsのライブで演奏された曲も多く、同アンサンブルの新作に収録予定の『喃語組曲』(お子さんの話す喃語=赤ちゃん言葉からインスピレーションを得た曲) からも2曲。当然ながら同じ曲でも弦のアンサンブルとは異なる響きで、特にパーカッションとピアノのアタックのある音がもたらすリズム感の違いが大きい。
この日吉田が弾いた楽器のバリエーションも面白い。Emo Stringsの時もバイオリン以外にクラリネットを吹き、またボーカルでメロディを歌う曲もあったが、今回はそれらに加えてオクターブ・バイオリンという楽器も登場した。バイオリンとボディのサイズや弦の長さは同じなのに音が1オクターブ低い、というもので、弦の張りはかなり緩いのだそう。音色も確かに独特で、特に低い音は胴体があまり響かない分素朴というか、不思議な音だった。この楽器のために書いた新曲で。
唯一演奏された吉田以外の作品は、梅井の「Loops」。既にこの曲をライブで聴くのは3回目、アルバム収録バージョンを加えると4バージョン目で、毎回違って毎回面白い。曲そのものが、クラシック風のモチーフと強烈にロック的なフレーズの組み合わせのコントラストと、それが繰り返される中で毎回譜割やテンポが変わって行く面白さを持った曲なのだが、これを複数回聴くことで曲の持つループの外側にもう一つあるループに乗っかることができたような気分。
第二部ラストに演奏された曲はカルテットのために書かれた新曲とのことで、10/8拍子のスリリングな展開はプログレっぽさも感じられた。このカルテットは2027年に何か画策していることがあるそうで、それに向けて今後活動もさらに活発化する模様。楽しみだ。
吉田篤貴カルテット
日時:2025年12月17日(水)
場所:東京・神保町 試聴室
出演者:吉田篤貴カルテット
曲目:
【第一部】
- 曲名不詳 (吉田篤貴)
- Choro de castanha (吉田篤貴) *
- 極夜 (吉田篤貴)
- Loops (梅井美咲)
- Escape (吉田篤貴)
【第二部】
- mi-tia, mi-goa (吉田篤貴) **
- apopokapokepi (吉田篤貴)
- 無題 (吉田篤貴) +
- Dancing Spoon (吉田篤貴) *
- 無題 – 新曲③2024 (吉田篤貴)
【アンコール】
- The Wind Fiddler (吉田篤貴)
卓球好き、音楽好きです。飲み食い好きが高じて料理もします。2024年ソニーグループ(株)を退職し、同年より(株)fcuro勤務のAIエンジニアです。アルゼンチンタンゴ等の音楽について雑誌に文章を書いたりすることもあります。
なお、当然ながら本サイトでの私の発言は私個人の見解であります。所属組織の方針や見解とは関係ありません (一応お約束)。
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