エステバン・モルガド・クアルテート (2025/10/10 東京・渋谷 渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール)

アルゼンチンのギタリスト、エステバン・モルガドが率いるクアルテート (四重奏団) のコンサートに行ってきた。

エステバン・モルガドはアルゼンチンを代表するギタリストの一人で、彼のクアルテートは結成25周年を迎えている (MCでは盛んに25年と言っていたが、1999年結成とのことなのでもう26年かも)。メンバーは少なくとも2002年のアルバム以降は不変で、エステバン・モルガド (g)、キケ・コンドミ (vn)、ワルテル・カストロ (bn)、オラシオ・ウルタド (cb) といずれ劣らぬ名手揃い。ピアノが不在で、その分リーダーのギターが重要な役割を担う編成である。

曲目は事前に配布されたプログラムから大きく曲順が入れ替わり、オープニングは伝統的なタンゴの王道「バンドネオンの嘆き」を重厚かつ現代的な演奏でじっくりと。ただ、彼等のカラーは基本的に明るいのが特徴で、以後はトラディショナルなタンゴは少な目、オリジナル中心に映画音楽やロック、ポップスのカバーも織り交ぜた内容だった。実は個人的には、タンゴ以外の楽曲をタンゴ化したものを聴くと何となく気恥ずかしさを感じてしまうことが多いのだが、彼等の演奏では全くそのようなことがない。アレンジのセンスが抜群に良いのだと思う (私感ではあるが、この魅力は普遍的なものだと信じる)。オリジナル曲にミロンガが多いのも印象的。

ダンスも、相変わらずよくわかっていないないながらも全般に楽しめた。印象に残ったのはマルティン・ルナの立ち姿の美しさと渋み、そして「フイモス」での脇坂美帆のソロ。後者はタンゴダンスの形を取っていないが、立ち上がって前を向き歩み出す女性の物語が感じられるものだった。

アンコールの「リベルタンゴ」はエステバンの長いソロを導入に、全員の熱い演奏。エステバンのギターが火を吹く勢いのすさまじさで、圧倒された。

エステバン・モルガド・クアルテート

日時:2025年10月10日 (金) 19:00〜

場所:東京・渋谷 渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール

出演者:

曲目:

  1. Quejas de bandoneón バンドネオンの嘆き (Juan de Dios Filiberto)
  2. El día que me quieras 想いの届く日 (Carlos Gardel, Alfredo Le Pera)
  3. Tanguito del sur タンギート・デル・スール (Esteban Morgado)
  4. Cinema paradiso ニュー・シネマ・パラダイス (Ennio Morricone)
  5. Cuesta arriba クエスタ・アリーバ (Esteban Morgado)
  6. Milonga de la puteada ミロンガ・デ・ラ・プテアーダ (Esteban Morgado) – Leandro & Miri
  7. En tu adiós エン・トゥ・アディオス (Esteban Morgado)
  8. Queen tanguera クイーン・タンゲーラ (Freddie Mercury)
  9. Qué importa eso ahora ケ・インポルタ・エソ・アオラ (Esteban Morgado) – Martin & Miri, Takeshi & Aya
  10. Tango del último amor タンゴ・デル・ウルティモ・アモール (Esteban Morgado)
  11. Fuimos フイモス (José Dames, Homero Manzi) – Miho
  12. Cada vez que respiras 見つめていたい (Every breath you take) (Sting)
  13. Por una cabeza 首の差で (Carlos Gardel, Alfredo Le Pera) – Leandro & Miri
  14. 川の流れのように (見岳章, 秋元康)
  15. Oblivion オブリビオン (Astor Piazzolla)
  16. Futbolera フトボレーラ (Esteban Morgado) – Leandro & Miho
  17. Morena モレーナ (Esteban Morgado) – Martin & Aya
  18. 【アンコール】Libertango リベルタンゴ (Astor Piazzolla)

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