春のタンゴ祭り “Premium Tango from Argentina” featuring ASATO PAIS (2025/04/18 東京・恵比寿 BLUE NOTE PLACE)

既にだいぶ日が経ってしまったが、アルゼンチンから来日したピアノとバンドネオンのデュオ、アサト=パイスのライブに行ってきた。ライブが行われたのは4月18日(金)の夜、場所は恵比寿ガーデンプレイス内のブルーノート系ライブレストラン、BLUE NOTE PLACE。

ピアノのクリスティアン・アサト (Cristian Asato) とバンドネオンのアジェレン・パイス (Ayelén Pais) は2023年にプロモーションのため初めて来日。その時私はウェルカムパーティーに呼んでいただいたりコマラジ「Marcy & MagiのTango en Tokio」でインタビューしたりして仲良くなり、雑司が谷エル・チョクロでのライブで彼等のライブに触れ、すっかりファンになってしまった。

今年は満を持してのツアーでの来日公演。ジャズやクラシックの要素も含む現代的な感覚をふんだんに盛り込んだ二人ならではの演奏はすごい迫力で、古いタンゴも複雑なアレンジとともに別の曲のような装いで現れる。一方で「君を探して」のようにミロンガで踊れるようなアレンジが施された楽曲もあり、それもまた味わい深く美しい。終始にこやかに演奏する姿と軽快なトーク (日本語ほんの少し、あとは西村秀人氏が通訳) も雰囲気を盛り上げてくれて、楽しいステージだった。

前回来日時に録音したミニアルバムにも参加していたKaZZmaが1曲ゲストで参加。息ぴったりで素敵な歌唱。ラストにタンゴではなくアルゼンチンの現代音楽の巨匠アルベルト・ヒナステラの作品が据えられた。これも非常に色彩豊かな演奏で、タンゴに限定せずにアルゼンチンの素晴らしい音楽を演奏する、という二人の姿勢が表れた選曲と言えるだろう。

終演後は久しぶりに二人と言葉を交わし、同行の友人たちとともに記念撮影。

ちなみに、実は前回来日時に上述のコマラジ「Marcy & MagiのTango en Tokio」でのインタビューで「あなたたちの音楽からは1970年代の現代タンゴ、例えば《バングアトリオ》のようなグループの影響が感じられる」と言ったのだが (バングアトリオは1970年代のネストル・マルコーニらによるトリオで、斬新なアレンジと技巧の限りを尽くした演奏で知られる)、今回終演後にアサトから「僕らの音楽にバングアトリオの影響を指摘してくれたのはあなただけだ」と言われた。わざわざその話を出してくれたということは、その影響を聴き取ってもらえてうれしい、という類の指摘だったということだろうか。だとすれば私としてもうれしい。

ステージ前後や休憩時間中はDJ PANCHITO (西村秀人氏) 厳選のアルゼンチン音楽が流れ、料理もアルゼンチン大使館がアドバイスしたというエンパナーダなどとても美味しく、ステージ以外も存分に楽しめたことを付記しておく。

春のタンゴ祭り “Premium Tango from Argentina” featuring ASATO PAIS

日時:2025年4月18日 (金)

場所:東京・恵比寿 Blue Note Place

出演者:

曲目:

【第一部】

  1. Adiós Nonino アディオス・ノニーノ (M: Astor Piazzolla)
  2. Quejas de bandoneón バンドネオンの嘆き (M: Juan de Dios Filiberto)
  3. Buscándote 君を探して (M, L: Lalo Scalise)
  4. Ilusión de mi vida 我が人生の幻想 (M: Feliciano Brunelli, L: Nolo López)
  5. El choclo エル・チョクロ (M: Ángel Villordo)
  6. Taquito militar 軍靴の響き(M: Mariano Mores)

【第二部】

  1. Oblivion オブリビオン (M: Astor Piazzolla)
  2. La cumparsita ラ・クンパルシータ (M: Gerardo H. Matos Rodríguez)
  3. El día que me quieras 想いの届く日 (M: Carlos Gardel, L: Alfredo Le Pera)
  4. Libertango リベルタンゴ (M: Astor Piazzolla)
  5. Nada ナーダ (M: José Dames, L: Horacio Sanguinetti) *
  6. Ballet Suit Estancia: Danza del trigo – Malambo バレエ組曲「エスタンシア」より:小麦のダンス – マランボ (M: Alberto Ginastera)

【アンコール】

  1. 9 de julio 7月9日 (M: José Luis Padula)

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